カシュガイ族同様にイラン南西部で遊牧生活を営んでいた、ハムセ連合に特徴的なデザインです。サドルバッグと言う、馬の背中に掛けて使われたバッグの表面です。1920年頃に織られたセミアンティーク(100年には満たない物)と前所有者様から伺っています。縦約65㎝、横約78㎝と小さめのものです。床に敷いての使用に可能ですが、個人的にはタペストリーとしての使用をお勧めします。小テーブルや飾り棚に敷く等もよろしいかと思います。所狭しと柄を織り込み、赤・オレンジ・緑等とカラフルな色合いのバランスも良く、とても華やかです。赤系とオレンジは合成染料も使用されているかと思いますが、全体の雰囲気を損なう物ではありません。特筆すべきは、上部の構造はバッグとして使用されていた当時のまま保たれている点です。これは袋の口を閉じるためのもので、袋の後布に付けられたループを表側の穴から出して、隣の穴から出した次のループは先のループにも通して、と順々にループを通してバッグの口を固定するために使用するそうです。“マジックファスナー”と呼ぶコレクターさんもいるそうです。この穴に細い棒を通して壁のフックに掛ければ、簡単に壁飾りになります。下側は織テープを当てて綺麗にかがられています。部分的に虫食いのようにパイルが低くなっている所が何ヶ所かありますが、全体的には磨り減りは目立ちません。また、下部に修理跡が二ヶ所あります。写真四枚目の左上・左下です。完璧な状態ではありませんが、この年代としてはとても良い状態と思います。 写真一枚目は日干しした際に撮影したものです。室内で見るよりも温かな色合いに見えます。購入時は土埃のようなもので汚れていましたので、ウール用洗剤で洗濯しました。個人的な感覚ではありますが、現状は頬ずり出来るくらい綺麗です。我が家では鑑賞のみで一度も実用しておりません。オールド キリムから始まり、トライバル ラグ・部族系絨毯と言われる毛織物にはまり、数年前にオランダのコレクター/ディーラー様から譲り受けたものです。気に入って入手したものですが、収納スペースが手狭になり、整理のため出品します。オールドキリムや絨毯がお好きな方、古い手工芸品に理解のある方にお譲りしたいと存じます。長い年月を経てきたなりの難がありますが、現状のまま愛でて下さる方の購入をお待ちしております。